【世界柔道】橋本が男子73キロ級「金」で絶叫 大野を倒せるのは世界で俺だけ

2017年08月31日 16時30分

激闘を制した橋本(右)は雄たけびを上げた(ロイター)

【ハンガリー・ブダペスト30日(日本時間31日)発】日本のメダルラッシュが止まらない。柔道の世界選手権3日目、男子73キロ級で初出場の橋本壮市(26=パーク24)が金メダルを獲得した。リオ五輪金メダルの大野将平(25=旭化成)が出場しないなか、負けられない一戦で意地の勝利。多彩な技を操る“アーティスト”が東京五輪で連覇を狙う同級生の大野の前に立ちはだかる。これで、男子はここまで全階級金メダルの快挙となった。また、女子57キロ級は芳田司(21=コマツ)が銀メダルをつかんだ。

 決勝はルスタム・オルジョイ(25=アゼルバイジャン)と対戦。大野が昨年、リオ五輪決勝で一本勝ちした相手だった。

 追撃ムードを高めるにはこれ以上ない舞台。ゴールデンスコア方式の延長戦にもつれたが、橋本は力を振り絞った。5分42秒、体落としで技あり。その瞬間、ガッツポーズとともに雄たけびを上げた。

 もう1人、上にいることは分かっている。でも世界一の称号だ。「やっと同じラインではないですけど、戦えると思っている。しっかり五輪チャンピオンを食って、2020年、ボクが五輪で優勝できるように頑張ります」。陽気な男は大野に堂々と宣戦布告した。

 日本が2010年から5連覇してきた黄金階級。リオ五輪の代表選考で行われた歴代チャンピオンの秋本啓之氏(31)、中矢力(28=ALSOK)、大野の三つどもえの争いの中に、橋本の入る余地はなかった。日陰を歩んできた苦労人はここ1年、メキメキと力をつけ、世界ランキング1位まで上り詰めた。それでも世界選手権は初めて。どうなるか分からなかった。

「いろんなプレッシャーとかかかってきた時に勝てるヤツが一番強い。大野は五輪で勝っている。それに追いつくには世界選手権で勝たないと」。所属の吉田秀彦総監督(47)の叱咤に応え、強さが本物ということを証明してみせた。

「大野に勝てるのは世界でボクしかいない」と、橋本は言い続ける。自信を持つのが技の多彩さだ。左右どちらからも投げることができ「橋本スペシャル」と命名するオリジナル技も複数パターン、懐にしのばせる。「大野は技もキレますけど、ボクはみんなと違う技がある」。“技のアーティスト”の片鱗を存分に示した世界選手権だった。

「(技が)左右あるので、持ってすぐ技を出すところが一番いいところ。相手に技をかけさせない。練習も考えながらやっていますよ」。こう評価する吉田氏は、愛弟子の精神的な成長も喜ぶ。

「前は自分の苦手な選手に対して、警戒し過ぎていた。だから自分の柔道ができず、負けていた。今は負けられないっていう気持ちが出てきている。そういう選手にもガツガツできるようになった」

 3年後に向け、国内代表争いが激化することは必至。しかし、大野への“挑戦権”をつかんだのは紛れもない事実だ。12月のグランドスラム東京大会で優勝すれば、来年の世界選手権代表も内定する。橋本が侮れない存在となってきた。

【プロフィル】はしもと・そういち 1991年8月24日生まれ。静岡県出身。神奈川・東海大相模高―東海大出。昨年はマスターズ大会、グランドスラム(GS)東京大会を制覇。今年は全日本選抜体重別選手権を制し、GSパリ、エカテリンブルク両大会で優勝。世界ランキング1位。得意は背負い投げ。170センチ。