リオ五輪柔道男子73キロ級金メダルの大野将平(25=旭化成)が28日、都内で取材に応じ、体重無差別で行われる全日本選手権(29日、日本武道館)への意気込みを語った。

 3年ぶり2度目の出場となる大野は世界選手権(8~9月、ハンガリー)を欠場し、全日本初制覇に照準を合わせた。五輪を制しても「憧れは変わらない」と位置づける大一番。全国から集まる重量級の猛者を相手に「心技体で対抗できる一番のところは心だと思う。心で勝てるようにしたい」と腕をぶした。

 体重は減量せずに「78キロぐらい」。出場43選手中、最軽量だ。過去に同じ中量級の古賀稔彦氏(49)らが活躍した時代とは小柄な選手に有利な足取りが禁止されるなどルールも違う。それでも、恐怖心に勝るやりがいがある。「緊張というより楽しみ。ワクワク、ドキドキのほうが大きい」と真っ向勝負を誓った。

 大野は初戦の2回戦から登場。勝ち進めば、3回戦で世界選手権100キロ級代表のウルフ・アロン(21=東海大)、準々決勝で地元山口の先輩でロンドン五輪100キロ超級代表の上川大樹(27=京葉ガス)、準決勝でリオ五輪同級銀メダルの原沢久喜(24=日本中央競馬会)、決勝で前年覇者の王子谷剛志(24=旭化成)と対戦する可能性がある。

 体重差があるため、一戦一戦が厳しい戦いになることは必至。しかし、大野の挑戦が、何もかもが合理的になりつつある柔道界に夢を与えていることも事実だ。リオ五輪以来、実戦から離れていたものの「重量級主体に1月から稽古してきた。全日本も楽しみですけど、久々の試合。そういったことをかみ締めながらやりたい。1回でも多く武道館の観客を沸かせることができれば」。果たして大野はどんな勝負を見せてくれるのか。