現実とロマンのはざまで揺れ動く柔道界が出した決断は――。全日本柔道連盟は13日、都内で理事会を開き、国内主催大会で使われている女子選手の白線入りの黒帯を廃止し、男子と同じ黒一色の帯に統一することにした。国際柔道連盟は1999年に男女を差別するものとして白線入りの帯を廃止していた。


 また世界選手権代表選考について新たに「内定システム」の導入を決めた。世界選手権と12月のグランドスラム東京大会を連覇した選手に、翌年の世界選手権代表の内定を与えるもの。今年の世界選手権(8~9月、ハンガリー)から2年間を対象とし、2020年東京五輪の選考については改めて協議する。


 これまでは4月に決定していたが、本番まで4か月という短い準備期間が問題になっていた。レスリングは前年の世界選手権の3位以内、競泳も優勝者をリオ五輪代表に内定させ、腰を据えた強化で結果を残した。全柔連の金野潤強化委員長(49)は「現場の監督、コーチからの要請が非常に強かった。できるだけ早く選手選考を終えて、よりいい体調、戦略で臨みたい」と説明した。


 だが、このシステムは国内大会の盛り上がりに影響が出る可能性がある。特に男子の100キロ超級は例年、4月29日の全日本選手権が最終選考会。階級によっては2人派遣となるため、全日本が選考対象から外れることはないが、仮に内定者が出た場合、日本一を決める格式高い大会に1番手の選手が出場しないケースも生まれかねない。


 全柔連幹部は「全日本は男のロマン。内定者であっても出てきます」と言い切ったものの、根拠は何一つない。別の関係者は「そりゃあ、影響あるでしょう。マーケティング的な観点からもね」と否定しなかった。ルールにおいても独自性を持つ全日本選手権の意義が揺らぎそうだ。