柔道全日本男子の井上康生監督(38)が“口下手選手”の改革に着手する。8日、代表勢の欧州遠征に合流するため羽田空港から出発。現地では今年から導入された新ルールの確認や新戦力を見極めるほか、リオ五輪81キロ級銅メダルの永瀬貴規(23=旭化成)と再会する。

 その永瀬について、井上監督は「書いたことを言えよって言いますよ。観点も面白い」と注文をつけた。

 先月9日から欧州で単身武者修行を行っている永瀬だが、井上監督が目をつけたのは意外な文才だった。

「毎週リポートを送らせている。たくましく育っていると感じ取れる一方で、文章能力がたけていてユニーク。読んで非常に楽しませてもらっている」

 もともと永瀬は仲間内ではひょうきんな性格で知られているものの、表に出す機会はめったにない。実力は申し分ないが「4年間においては一歩下がった存在で自分をアピールできなかった」と井上監督は惜しんでいた。

 東京五輪ではエース候補として期待をかけている。このまま長所が埋もれたままではもったいない。井上監督は永瀬に限らず、他の選手にも積極的に“発言力”を求めていく方針だ。強さと人格を兼ね備えた魅力あふれる柔道人の育成は当初から掲げていた目標とあって「メディア講習もやっている。自分の思っていることを言葉で出させたい」と力を込めた。