リオ五輪柔道男子100キロ級代表の羽賀龍之介(25)が恩師の父・善夫さん(53)に有言実行の金メダルを誓った。

 29日、所属する旭化成の会見が都内で開かれ、羽賀は一番の支えになった人について「父親です。父親も旭化成の柔道部でソウル五輪に出られなかったので父親の分まで五輪で結果を残したい」と言い、恩返しへの思いを強くした。

 少年時代は横浜市の名門・朝飛道場に通いつつ、父から代名詞の内股の教えを受けた。その父とは道場を離れて以来、柔道の話はしない。晴れて代表に決まっても特別な言葉はなかったという。それは、2014年に100キロ級の世界選手権代表派遣が見送られた時も同じだ。

 しかし、羽賀はそんな善夫さんを尊敬してやまない。善夫さんが五輪を目指していた選手だったことも他人から聞いた。壁にぶつかった時も、自主性を重んじてくれたことに感謝している。「逆にそれが父のすごいところだと思っているし、その分、思いを持っているなっていうふうに感じている。父は現地にも来るのでいい姿を見せられたらなと思います」と羽賀は力を込めた。

 3月に負傷した左ヒザは「今は追い込みをやれている。全然問題ない」(柔道部の中村兼三監督)と回復した。昨年の世界選手権で初優勝。上り調子の“羽賀龍”が父の夢も乗せて残り1か月、全力で仕上げる。