リオ五輪柔道男子66キロ級代表の海老沼匡(26)と60キロ級代表の高藤直寿(23)が8日、都内で行われた所属の「パーク24株式会社」の壮行会に出席した。来年1月に挙式・披露宴を行う予定の海老沼は是が非でも金メダルを獲得して、愛妻や列席者に悲願成就を報告したいという。そこで立ち上がったのがパーク24の吉田秀彦監督(46)だ。愛弟子が世界の頂点に立った暁には“笑撃プレゼント”を贈ることを本紙に明かした。

 今でも振り返ってしまうロンドン五輪の苦い思い出。準決勝で敗れ、何とか3位決定戦を制したものの、銅メダルに終わった悔しさはとても忘れることはできない。海老沼の口からは、この日も雪辱に燃えるセリフが飛び出した。

「ロンドンは初五輪だったので、本当にいろいろなプレッシャーがありました。『五輪は何が起こるかわからない』と言われていましたし、注目もされていて…。追い込みすぎてコンディション調整もうまくいかず、疲れたまま本番を迎えたんです。でも、今回はブレることなく、自分のペースを守り、ベストな状態で試合を迎えたい」

 柔道人生の集大成。表彰台の真ん中に立ちたいという思いは人一倍強い。だが、金メダルを取りたいのはそれだけが理由ではないという。海老沼本人が言う。

「来年1月に挙式するんです。国内なんですけど。でも、それも全部終わってから」

 2014年12月に同じ柔道家の香菜さん(28)と入籍したものの、式を挙げなかったのはリオ五輪を控えていたから。これまで支えてくれた愛妻のためにも、金メダルを持って式に臨みたいという夢があるのだ。海老沼は「金じゃなかったらかっこ悪いですし」。

 そんな柔道思い、家庭思いの愛弟子に吉田監督も黙っていられるはずがなかった。本紙が挙式の話を振ると、覚悟を決めた表情でこう語った。

「よし、わかった! もし金メダル取ったら、オレと(パーク24コーチの)園田(隆二氏)が新郎新婦のコスプレで入場して盛り上げてやるよ。新婦役の園田はウエディングドレス姿だ。あいつらより先にケーキを入刀してやる(笑い)」

 これは夫妻にとって最高のはなむけだろう。所属チームの監督であり、バルセロナ五輪78キロ級金メダリストの吉田監督と前全日本女子監督の園田コーチがそんな粋な演出をすれば、式は最高の盛り上がりを見せるに違いない。そばで聞いていた園田コーチは苦笑いだったが…ひと肌脱いでくれる師匠たちの期待は発奮材料だ。

 何より、2人のコスプレ姿をどうしても見たいと思う周囲も応援に一層、熱が入る? 様々な人の思いを胸に海老沼は金メダル奪取を狙う。