柔道世界選手権男子73キロ級金メダルの大野将平(24=旭化成)が、井上康生監督(37)から“金言”を贈られた。

 ドイツ・デュッセルドルフで行われたグランプリ大会で優勝した大野は22日、成田空港に帰国。世界ランキング1位の安昌林(21=韓国)を準決勝で撃破するなど圧巻の内容で、リオ五輪代表に大きく前進した。それでも本人は「8月に負けたら意味がないので、結果に一喜一憂せず、稽古を積んでいけたら」と一層の精進を誓った。

 そんな大野に対し、井上監督は「心の隙を見せたら負け。一瞬のミスが命取りになることがある」と助言。決勝後の第一声が「少し(相手を)軽く見てました」だったのが気になったからだ。

 井上監督は2000年シドニー五輪、01年、03年の両世界選手権をオール一本勝ちで金メダルを獲得したが、04年アテネ五輪ではメダルを逃した。その敗因を「色気が出ていた」と分析。

 現役時代には「相手は、そんなに強くない。されど相手は、そんなに弱くない」との言葉を何度も聞かされた。大野の圧倒的な強さも、慢心しては足をすくわれるという忠告を込めた。

 73キロ級は世界ランク上位8人の中に日本選手が3人、入っている。激戦区の先頭に立つ男だからこそ求められるハードルは高い。