リオ五輪は大丈夫? これまで何度も“誤審騒動”を起こしている柔道のルール問題が改めて浮き彫りになった。


 29日、東京・文京区の講道館で国際柔道連盟(IJF)による審判・コーチセミナーが行われ、世界90か国から300人の審判、コーチ代表が出席。全日本柔道連盟の協力のもと、現行ルールの確認と知識の共有を図った。五輪を含む大会で少しでも誤審を減らそうという試みだが、柔道母国の日本が突きつけられた現実は厳しい。


 午前には大型ビジョンで映像を見ながらIJFのフアン・カルロス・バルコス審判委員長(67)が際どい攻防の判定を参加者にジャッジしてもらう形で進行。その中で、昨年12月のグランドスラム東京大会で、世界選手権男子81キロ級金メダルの永瀬貴規(22=筑波大)が足取りによる反則負けを喫し、試合後に誤審と認められた試合も取り上げられた。しかし、バルコス氏が「これは足取りによる反則か?」と挙手を求めると、なんと「反則ではない」より「反則負け」が上回る事態に…。東京大会で誤審を認め、謝罪しているバルコス氏はあまりに多い“同胞”の存在に苦笑しつつ、スロー再生を使い説明に追われた。


 参加者の中にはリオ五輪でのジャッジ候補18人も含まれる。


 各国を代表するトップレベルの審判、コーチの中でも、ルールに対する理解や判断にばらつきがあることが明確となり、本番に向けても不安が募った。


 日本代表の井上康生監督(37)は「認識の違いが非常にあったと思う。非常に怖いことで、だからこそ、講習会の意味がある」と話し、セミナーが誤審の抑止力になることを期待した。効果があることを願うばかりだ。