柔道男子日本代表が13日、トラブル続きのブラジル・リオデジャネイロ遠征を終えて成田空港に帰国した。

 経由地のドイツ・フランクフルトが悪天候で飛行機の運航が乱れたため、リオ滞在はわずか2泊に短縮された。さらに選手のほとんどが「ロストバゲージ」に遭うなど、さんざん振り回されたものの、収穫はあった。

 合宿ではブラジル代表の主力が不在。その代わり、練習相手になったのはブラジリアン柔術の猛者たちだった。柔術は下半身への関節技が許されるなど柔道と異なるが、柔道ルールでぶつかり合った。

 これが大成功。選手たちにとっては新鮮なスパイスになった。66キロ級の海老沼匡(25=パーク24)は「技術は、すごくたくさん持っている。知っておくだけで防御にもなる」と刺激を受けた。初めて柔術の選手と肌を合わせたという81キロ級の永瀬貴規(21=筑波大)も「いい経験になった。今まで食らったことのないような返し(技)があって、こういうのもあるんだと思いました」と素直な驚きを口にした。

 井上康生監督(37)は「我々にとっては、すごい刺激になる。軽いクラスなんかは、いろいろ学べたと思う」と総括。遠征中のトラブル処理に翻弄されたことを嘆きつつ、“異種格闘技戦”の成果に手応えを示した。現地では建設中の会場や選手村も視察。1年後の五輪に向けて、全員がモチベーションを高めた。