【柔道】阿部詩が両肩手術直後の“強行出場” 全柔連「整合性、公平性を期すためには致し方ない」

2022年04月03日 05時15分

手術明けながら、果敢な攻めを見せた阿部詩(代表撮影)
手術明けながら、果敢な攻めを見せた阿部詩(代表撮影)

〝強行出場〟は止められなかったのか。全日本柔道連盟は2日の全日本選抜体重別選手権(福岡国際センター)後に強化委員会を開き、世界選手権(10月、タシケント)女子代表を決定。52キロ級で東京五輪金メダルの阿部詩(21=日体大)ら7人が名を連ねた。

 今大会は世界選手権の代表選考会を兼ねて行われ、第1シードで臨んだ詩は準決勝を棄権。その後、取材に応じ、昨年9月と10月に両肩関節唇の修復手術を受けていたことを明かし「なんとか3月に柔道を始められるようになったんですけど、練習を始めて2週間でこの試合だった。1回戦に出て、まだ肩の状態が不安定だったので棄権させていただきました」と説明した。

 ただ、この日は白石響(環太平洋大)が優勝したが、過去の実績などを踏まえ、五輪女王が切符をゲット。女子代表の増地克之監督は「この階級で(優勝に)一番近い」と選考理由を述べた。

 そうした中、詩は「本当は4月に間に合わなかったんですけど、体重別に出ないと世界選手権の道はないということだったので、とりあえず(今大会の)畳に立とうという目標を持った」とも話していた。金メダリストという実績を持ちながらも選考会を回避した場合は世界選手権の出場が危ぶまれていたのか。

 増地監督は「2月の欧州(での大会)、そしてこの選抜が選考大会になってくる。この試合に出ないというところは、自力での代表権を獲得するのは難しい」と話す。

 世界選手権は2階級まで2人の起用が可能。7階級で最大9人が出場できる。そのため「2枠の使い方は他の階級の選手との比較になってくるので『出ないから100%代表に入れない』ということではなくて、自力では(難しい)ということ」と強調した。

 一方、今回のような〝強行出場〟は故障の再発やさまざまなリスクが付きまとう。それでも金野潤強化委員長は「金メダリストは大きなアドバンテージを持っている」としつつ「しかし、追いかける選手も必死でやっている中で『金メダルを取れば後の試合は出なくても確実に(世界選手権などに)出れる』となると、追いかける選手たちのチャンスがなくなってしまう」と指摘する。

 さらに「本当はケガの選手が試合に出るのは避けたいが、満身創痍でケガを抱えながら戦っている選手もいる。選考会として整合性、公平性を期すためには致し方ない」と付け加えた。

 現行の方針では追う立場、追われる立場関係なく故障は禁物ということだ。

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