柔道男子100キロ超級の原沢久喜(22=日大)が、リオ五輪へ生き残りをアピールした。全日本選手権(4月29日、日本武道館)の予選を兼ねた東京都選手権(8日、東京武道館)、男子の部決勝で高橋和彦(29=新日鉄住金)を開始48秒、豪快な内股で叩きつけて一本勝ち。2年ぶり2度目の優勝を飾った。

 大器として期待されつつ、大一番で結果が出ない。気がつけばライバルの七戸龍(26=九州電力)に水をあけられた。しかし、昨年11月のグランプリ大会(中国)、今年2月の欧州オープン(イタリア)と国際大会で2連勝して開眼。対戦相手を研究するようになり、ウエートトレーニングで肉体改造に成功した。「(内股は)決まるようになったので、最近は自信を持っています」と発言に力強さも加わった。

 リオに出場するためには8月の世界選手権(カザフスタン)代表入りが不可欠だが、井上康生監督(36)は「両方勝って初めて議論になる」と叱咤。全日本選抜体重別選手権(4月4~5日、福岡国際センター)と全日本の連勝を義務づけた。原沢も「これから全試合、勝っていく」と不退転の決意を示した。

 4月からは日本中央競馬会(JRA)に就職。「自分は先生になるとかそういう夢はないので…」と引退後も仕事を続けられることが決め手となった。現役時代は柔道で完全燃焼することしか考えていない。最後の直線に入った原沢の末脚が、ゴールに向かっていよいようなりをあげる。