今月末で2期9年の任期を終える柔道男子日本代表の井上康生監督(43)が30日、報道陣の取材に応じ、今の胸中を明かした。

 井上監督は2016年リオ五輪で男子全階級メダル獲得に貢献すると、今夏の東京五輪では男子史上最多となる5個の金メダルを奪取。〝柔道ニッポン〟躍進の礎を築いた。

 9年間の監督生活については「この言い方が適切かどうか分からないが、現役生活も9年間の監督業も私の人生の中では通過点だと思っている」と振り返った上で「貴重な経験を次のステージでどう生かしていくかってところに私自身価値があると思っているので、ホッとしている時間はない。失敗や挫折も含めて貴重な経験だった。未来に生かすも殺すも自分次第なので、得たものをアップデートさせていきながら活用していきたい」と決意を新たにした。

 監督業からは退く一方で、今後は男子の強化副委員長とブランディング戦略推進特別委員会の委員長として活動する。「強化において、柔道の魅力をこれからも追い続けることがさらなる発展につながっていく」としながらも「柔道の究極の目的はいかに培ったものを社会に生かしていく人材、組織になっていくかってこと」との考えを示した。

 10月からは鈴木桂治氏が新監督として、パリ五輪に向けた歩みを進めていく。井上監督は「私にはないたくさんの力を持っている。鈴木カラーを前面に出してもらい、鈴木ジャパンのチームづくりをしてほしい」とハッパをかけた。