全日本柔道連盟が2016年リオ五輪も“斉藤ジャパン”で臨む可能性が強まった。


 20日に肝内胆管がんのため死去したロサンゼルス、ソウル五輪柔道95キロ超級金メダリスト・斉藤仁氏(享年54)は全柔連強化委員長の要職にあった。リオ五輪まで残り1年半となり、新たな委員長を選任するのか、焦点となるが、近石康宏専務理事(66)は23日、「当分、空席。それで(リオまで)乗り切る判断もある」と本紙に明言。しばらくの間、後任を置かない意向を示した。


 すでにリオ五輪までの強化プランは斉藤氏を中心に作成済みだ。男子は井上康生監督(36)、女子は南條充寿監督(42)のもと強化は軌道に乗っており、体制変更がプラスになるとは限らない。「一つ動かすと、がちゃがちゃして崩れるゲームがある。あれと一緒で現場が混乱しても困る。うまくいっているものを焦って変えるより、このままという意見は結構ある」(近石氏)


 現場を任されている木村昌彦統括ディレクター(56)も「執行部が決めること」と前置きした上で、斉藤氏の遺志を引き継ぎ、強化を推進する構えだ。「委員長がいないというより、斉藤委員長の名前で頑張るっていうのがある。お葬式が終わっても、斉藤イズムの中でやっている。今、進んでいるから止めるわけにはいかない」


 2月からは欧州遠征がスタート。次期強化委員長は20年東京五輪を指揮することを考えれば、じっくり検討する必要もある。3月の強化委員会で何らかの話し合いが持たれそうだが、リオに向け“斉藤委員長続投”ムードは高まっている。