【柔道】金メダル・素根輝支えた壮絶な練習量 阿部一二三「気緩めたら投げられそうになる」

2021年07月30日 21時05分

金メダルを手に、笑顔がこぼれる素根

 必然の結果だった。東京五輪の柔道女子78キロ超級決勝(30日、日本武道館)で、2019年世界選手権覇者の素根輝(21=パーク24)がオルティス(キューバ)を下し、金メダルを獲得した。同階級では04年アテネ五輪の塚田真希以来、4大会ぶり2人目の快挙を成し遂げた。強さの秘密は圧倒的な練習量。同階級の中では決して体が大きいとは言えないが「この体形じゃないと今の柔道できていない」と言い切る若き柔道家が、己のスタイルで頂点まで駆け上がった。


 人の3倍努力する。これが素根のモットーだ。多いときは乱取りを1日30本こなす。柔道関係者も「何回も反復練習をするのは嫌なはずだけど、それを素根はできる。本当に長時間練習をしている」と舌を巻く。ただ、当の本人は「そんなに周りが言うほどやっていないんですけど、本当にただ強くなりたいっていう気持ちだけ。周りもやっているので、それ以上に練習を積まないと強くなれないかなという風に思っている」と言う。「練習は裏切らないと信じてやっているので、とにかく練習は妥協せずにやっている」とコツコツと努力を重ねてきた。
 
 周囲が驚く練習量をこなすことで、体つきも変化した。「肩幅は結構変わった。19年世界選手権で着ていた柔道着が結構パツパツになった」。男子とも精力的に稽古をこなし、外国人に負けない力強さと技術を身に付けた。同じ所属先で素根と今春に乱取りした男子66キロ級金メダルの阿部一二三も「ちょっとでも気を緩めたら投げられそうになるぐらい」と強さを認める。

 壮絶な努力がついに実を結んだ。初戦の2回戦は体落としを決めて一本勝ち。準々決勝でも体落としで技ありを奪い、そのまま横四方固めで抑え込み、合わせ技で一本。準決勝も合わせ技で一本勝ちし、決勝に駒を進めた。ロンドン五輪金メダルの難敵オルティスとの大一番は、約9分に及ぶ熱戦の末に反則勝ち。女子では史上3人目となる全日本選手権、世界選手権、五輪を制する「柔道3冠」を成し遂げた。

 大会前には「自分の中で特別な舞台なので、しっかり金メダルを取れるように頑張りたい」と決意を述べていたが、まさに有言実行の戦いぶり。試合後には「とにかく先に攻めようと思った。絶対に負けないという気持ちで臨んだ。この大会のために練習を頑張ってきたので、それを出せてよかった。本当に頑張って来てよかった」と涙ながらに語った。

 1992年バルセロナ五輪男子78キロ級金メダルで、所属先の〝元柔道王〟吉田秀彦総監督は「やっぱりそれだけ練習しているからでしょ。(素根)輝の父親が柔道をやっていたから、中高時代に結構しごかれたと思う。そうじゃなければ、あの力はつかないと思う」と褒めたたえた。

 今後は五輪女王として、より世界からマークされる立場になるが「目の前大会一つひとつを大事にして、目標とされる選手になりたい」と気合十分。さらなる飛躍へ、一歩ずつ道を切り開いていく。

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