柔道競技5日目(28日、日本武道館)、女子70キロ級決勝で新井千鶴(27=三井住友海上)がポレレス(オーストリア)を下して優勝。ニッポン柔道に今大会6個目、女子には2個目の金メダルをもたらした。

 準決勝を16分41秒の死闘の末、〝失神KO勝ち〟で勝ち上がった新井は、足技の小外掛けで技ありのポイントを奪った。がっちり組み合う得意の形を貫き、そのまま最後まで攻め切り優勢勝ちした。

 試合後は笑顔で右腕を突き上げた。畳を下りると号泣。「うれしいです。そのひと言です。もう一本を取りにいこうという気持ちで、最後悔いが残ってこの大会が終わらないように、攻め切ろうと思った。この舞台に立つまでに自分が一番になるんだという思いで積み上げてきたので、自分に悔いだけは残したくはないな、と気持ちで戦いました」と涙声で語った。

 前回のリオ五輪では予選で田知本遥に敗れ、代表に選出されなかった。リオ本番ではその田知本が金メダル。悔しい思いを味わった。「何度もくじけそうになったが、自分の芯をぶらさずにここまでやってきて、結果がついてきて本当に良かったです」

 最後は支えてくれた母に向かって「取りました~!」と絶叫。「本当に家族が一番の味方。どんな時も『千鶴が一番強い』と言い続けてくれたので、両親、兄をはじめたくさんの方に感謝の気持ちでいっぱいです」。2017、18年の世界女王が、ついに五輪で表彰台の頂点に立った。