【石井の慧眼】総合格闘家の石井慧(34)がクロアチアから国際電話で取材に応じ、6月の柔道世界選手権で18年ぶりとなる男子100キロ超級での優勝を果たした影浦心(25=日本中央競馬会)を絶賛した。2008年の北京五輪同級金メダリストは、五輪2連覇中の“絶対王者”テディ・リネール(32=フランス)との相性から影浦こそ東京五輪代表にふさわしかったのでは…と指摘。久々の「慧眼」がさえわたった。

――6月にクロアチアに戻られたとのこと。そちらはいかがですか

 石井 やっぱりこっちはいいですね! 東京の人混みよ、さらばって感じです。コロナの件も、もうすっかり落ち着いてます。マスクも一応、スーパーの中とかレストランで席に着くまではしないといけないですけど、あんまりみんな守ってないです(苦笑い)。感染者数の発表もメッチャ減ってます。1日2桁とかの日もあります。

 ――そんなクロアチアからも柔道の世界選手権は気になりましたか

 石井 はい。五輪イヤーでメダル狙っている選手が出ていなかったり、毎年やるようになって価値が下がったりはしてますけど、やっぱり気にはしてました。注目選手? 影浦心選手でしょう。

 ――同じ100キロ超級で優勝。世界選手権では18年ぶりでした

 石井 まずはおめでとうと言いたいです。あとは「打倒リネール」という観点で見たら、影浦選手が五輪代表でも良かったのではと思いました。

 ――同級五輪代表は原沢久喜(29=百五銀行)だが…

 石井 リネールって、けんか四つで小さい相手が苦手なんですよ。だから相性がいい。実際2月に(グランドスラム・パリ大会で)勝ちましたよね。リネールは堅く戦うんで、原沢君が行ってもまた同じ感じになると思うんですよ。僕も堅いタイプだったんで分かるんですけど、このタイプは1回ハマると「この相手ならこのやり方で勝てるな」っていうのがわかる。僕も井上康生選手(現・全日本男子監督)とはそうでした。体格も力も向こうが上だけど、負ける気がしなかった。ただ、影浦選手がリネールと当たるまで勝ち続けるかどうかは別の話なんで分からないです。でもすごくコンディションも良さそうだったので、なおさらそれでも良かったんじゃないかと。

 ――最後に自身の今後は

 石井 昨年5月に首の椎間板の手術を受けて、それから日本に帰って治療してすっかりいい感じです。ここから連戦していって、新しい自分を見せて、挑む試合にすべて勝ち、最強への道を歩もうと思いますよ!