【柔道世界選手権】松本薫まさかの2回戦敗退

2014年08月28日 16時00分

 ロンドン五輪金メダルの松本薫(女子57キロ級)が、まさかの2回戦敗退を喫した。

 

 昨年の準優勝者で世界ランキング3位のマロイ(米国)と対戦した松本は、うつぶせ状態から右腕を腕ひしぎ十字固めに決められ、わずか24秒でタップ。新技の「くるりんぱ」(内股)を試すどころか、得意の寝技で見せ場すら作れず、所属の中橋治美監督が「アレッて感じでやられた。ふに落ちない負け方」と首をかしげるほどのらしくない戦いぶりに終わった。

 

 ロンドン五輪で頂点に立ち、初めて迎えた世界大会。日本では常に話題を振りまき、明るく振る舞ってきた松本だが、笑顔の裏で王者の重圧と闘っていた。1回戦こそリ・ヒョスン(北朝鮮)に優勢勝ちしたが、心と体の歯車はかみ合わなかった。「自分の攻撃的な柔道が全くできず、初めてプレッシャーというものを感じた。今思えば不安しかなく、一生懸命隠していた」と松本は肩を落とした。

 

 実は、畳の上の“野獣スタイル”からは想像もつかない気配りの人でもある。何より王者として弱音を吐けるはずがなかった。練習では120%の力を出し続け、内に秘めた不安を必死にかき消していた。中橋監督は「オリンピックとか世界選手権に勝った人にしか分からない。目に見えないものと戦うのが一番不安なんですよ」と胸中を思いやった。全日本女子の南條充寿監督(42)は「松本は少し浮足立っていた。そこを突かれた」と悔しがった。

 

 十字固めを決められた右腕は靱帯損傷の疑いで試合後、布で右腕をつるした。本来、「参った」などする選手ではない。しかし、松本は腕が壊れることより夢を追い続けることを選択した。「ひじの痛みとともに、この負けの痛みは(試練を)乗り越える糧になる」(松本)。2大会連続の五輪金メダルをまだ諦めていない。