栄光か、それとも乙女の夢か…。ロンドン五輪女子57キロ級金メダリストで柔道世界選手権(25日開幕、ロシア・チェリャビンスク)同級代表の松本薫(26=フォーリーフジャパン)は、出発前最後の合宿で万全の態勢をアピール。だが、大一番を前になぜか浮かない顔で切実な悩みを告白した。

 松本は乱取りで4階級も上のロンドン五輪78キロ超級銀メダルの杉本美香氏(29)らに果敢にアタック。納得の稽古を終え「あとはやるべきことをやるだけ」と世界選手権Vへの自信を口にした。

 体調は万全。気力も充実。普通なら大一番に向けて不安もないはずだが、ある瞬間を境にその表情は一気に暗くなった。

 それは話題が松本の腹筋に及んだ時のことだった。松本は突如「海の憧れ…ビキニを着れないんです!」と切実な声を上げた。腹筋が自称「バスケットボールみたい」に割れているため、ビキニが似合わないことを本気で悩んでいる。

 松本は闘争本能むき出しの攻撃スタイルから、一般には「怖い人」という印象が強い。しかし、中身は夢見る(?)26歳の女性。アスリートにとって腹筋は格好よさの証しでもあるが、乙女心を忘れない松本は「(ビキニを着ると)男が着ているみたい。骨格の外に筋肉をつけてるんで…」と嘆くことしきりだった。

 悩みに追い打ちをかけるように、松本の大腿筋を見た浅見八瑠奈(26=コマツ)から「本当、足が馬みたいなんです。前、馬を見た時に『松本先輩に似てる』って言ったことがあるんですよ」とまで言われた。

 松本は現代表でも長距離走はピカ一で、文字通り“馬並み”の速さを誇る。浅見は素直に印象を語っただけだが、松本から腹筋を「亀の甲羅みたい」と暴露されていただけに、多少の悪意はあったかも…。

 後輩に傷口をえぐられた松本は自身をギリシャ神話に登場する半人半馬の怪物になぞらえ「ケンタウロスか…」とすっかり意気消沈。とはいえ、スポーツ界では辛抱の先に栄光が待っている。ひとまず乙女の夢はお預けとなるが、世界選手権でも超人的なフィジカルが松本の大活躍を後押ししてくれるに違いない。