快進撃を続けていた暴走王・小川直也(46)の長男、小川雄勢(18=修徳高)に急ブレーキがかかった。

 全国高校総体(インターハイ)柔道男子個人戦(4日、千葉・成田市体育館)100キロ超級で、V候補の大本命だった雄勢はまさかの3回戦敗退。大森淳司監督(39)に寄り添われると「自分で何がなんだか分からないうちに終わってしまった…」と話し、またもや涙をぬぐった。

 ただ、小川は「むしろ負けたほうがいい。まだまだスーパースターじゃないから」とサバサバしたもの。というのも課題が明確になったからだ。まず挙げたのが精神面。雄勢は前日の団体戦敗戦のショックを引きずったまま、この日を迎えた。「まだ子供ってこと。団体戦出てなかったら普通に優勝してたんじゃない。そういう問題だから」(小川)

 雄勢が来春入学予定の明治大・猿渡琢海監督(37)も「気持ちの問題でしょう。あの負け方は」と初戦からの戦いぶりを嘆いた。さらに、技術面では相手に徹底的に研究されており、左奥襟を持つ必勝パターンが崩壊。大森監督は「つり手を持てないから引き手をしっかり握れればよかった。自分の弱さを相手が教えてくれた」と指摘した。

 もちろん、伸び盛りの雄勢にとってはすべてが良薬。全日本の井上康生監督(36)も「大きい相手に対して課題が見えたのは非常によかった。ポテンシャルはある」と巻き返しを期待した。高校最後の夏は終わったが、9月の全日本ジュニア(埼玉)、11月の講道館杯(千葉)と戦いは続く。小川は「やり直しがいっぱいきくから」と最後まで冷静だった。