24日にがんのため亡くなったバルセロナ五輪柔道男子71キロ級金メダルの古賀稔彦さん(享年53)の通夜が28日、神奈川・川崎市内の寺院で行われ、柔道関係者をはじめとする約3000人の弔問客が改めてその死を悼んだ。

 参列後に本紙の電話取材に応じた同五輪男子95キロ超級銀メダルの〝戦友〟小川直也氏(52)は改めて無念の思いを語った。

 ただただ「バカヤロー、早えよ」という感じ。
 がんだってことは、みんなには隠してたみたいだけど、俺には最初に手術した去年の5月からずっと経過報告をしてくれててさ「摘出して治ったと思ったら、転移してそれと戦ってる最中だ」って言ってた。

 関係者に聞いたら秋には走れるぐらいまで回復してたらしいんだけど、12月にドクターストップがかかっちゃった。

「最初の手術が終わった後に抗がん剤をやってれば、こういうことにはならなかったかもしれない」なんてことも言っててさ、そこも何やってんだよと。

「人に弱いところを見せたくないから健在ぶりをアピールしてたけど、甘く見てた」って。最悪のシナリオになっちゃったよな。言葉が見つからないよ。無念、残念の二言。治ったら南伊豆の別荘に招待してくれるって言ってたじゃねえか。

 でもお通夜では(柔道私塾)講道学舎後輩の吉田(秀彦)君が取り仕切ってよくやってたな。

 呼ばれて息を引き取る瞬間もそばにいて、お通夜には出たくないと号泣してたって聞いたよ。付き人をしてる時代を見てたけど、兄弟みたいだったから、相当つらかったと思う。

 彼のお陰で俺はお通夜の席でも特別扱いを受けた。会場の横で別れを言うシチュエーションも作ってもらったから、すごい奴だよ。

 重ね重ね、稔彦は本当の意味で戦友だった。俺がプロに行くときも「お互い別々の世界だけど頑張ろう」って手紙をもらって「ヨシ!」って気合が入った。

 でもしばらくして「プロのお前は1試合で稼ぐけど、俺は休みなく働かないと追いつけないよ」なんて言って笑ってたっけ。

 バカヤローって思ったけど、今はゆっくり休んでくれといいたい。でも向こうの世界で暴れてくれたら、だいぶ後輩になるけど、自分もそのうち行くのでね。

 最後にご家族、関係者の方には心よりお悔やみ申し上げます。