24日にがんのため亡くなったバルセロナ五輪柔道男子71キロ級金メダルの古賀稔彦さん(享年53)の通夜が28日、神奈川・川崎市内の寺院で行われ、柔道関係者をはじめとする約3000人の弔問客が改めてその死を悼んだ。

 取材に応じた同五輪男子78キロ級金メダルの吉田秀彦氏(51)は「現実とは受け取れない心境ですね。亡くなる前日に僕は会っていて、ここから『元気になってくれる』と信じて、先輩に声をかけたので…。それが通じずに亡くなってしまったので、信じられない気持ちでいっぱいです」と涙を浮かべた。

 同五輪で古賀さんは、吉田氏との稽古中に左ヒザに大ケガを負うも、痛み止めを打ちながら奇跡の金メダルを獲得した。「自分(吉田氏)に気を使い、周りに気を使い、どうやって金メダルを取るかということしか考えていなかった。間近でずっと見ていたので、なんてすごい人なんだと。自分じゃまねできないなと思っていました」と当時を振り返る。

 その存在の大きさについて「ほんとに兄貴みたいによくしてもらいましたし、五輪で2人で一緒に金メダル取れたのも先輩のおかげだなと思います」と語ると、「残された(子供たちの)颯人、玄暉、ひより。そして奥さん。しっかり天国で見守ってほしいです」と最後の言葉を送った。