1992年バルセロナ五輪柔道男子71キロ級金メダルの古賀稔彦氏が24日朝、53歳で死去したことを受け、84年女子柔道世界選手権銅メダリストで〝ミスター女子プロレス〟こと神取忍(56=LLPW―X)は「日本にとって大きな損失」と声を詰まらせた。

 テレビのニュース番組で訃報を知ったという神取は「世代的にも同じだし、あまりに突然で声を失った。今、この瞬間でも信じられない。一緒に練習はしたことはなかったけれど、やはり時代を象徴する突出した存在でした…」と沈痛な声で話した。

 数年前にテレビのクイズ番組で一緒になった際には「先輩、お疲れ様です!」とあいさつしつつ「いやー、僕はこういう番組では、収録前にガムをかんで神経を一点に集中させるんですよ」と話していたという。

「ものすごく気さくだったし、話していてやっぱり発想力が違った。金メダリストとしての実績はもちろん、指導者としての才能もズバ抜けていたよね。男子の金メダリストが、女子の金メダリスト(谷本歩実=04年アテネ、08年北京女子63キロ級金メダル)を育てた例ってあまり聞いたことがない。厳しさと同様に人の心も気遣う細かい繊細さも持ち合わせていなければ、できることではない思う」

 さらに神取は「大人から子供、男子から女子まで分け隔てなく教えていたわけじゃない。私からすれば柔道の普及に人生をささげているようで、まぶしく見えた。人生まだまだこれからだったのに…。だからこそ悔しいし残念でならない。スポーツ界のみならず日本にとっても、偉大な教育者の損失だと思います」と哀悼の意をささげていた。