柔道のバルセロナ五輪男子71㌔級金メダリストで〝平成の三四郎〟こと古賀稔彦さん(享年53)が24日朝に死去したことを受けて、同五輪95キロ超級銀メダルの〝元暴走王〟小川直也氏(52)が本紙の取材に応じ、ライバルで戦友の死をいたんだ。

 小川氏は古賀さんと同学年で、バルセロナ五輪にはともに出場した。1990年4月の全日本選手権では決勝で激突。重量級と軽量級の世界王者同士の決戦として話題になった。その後も少年柔道の指導を通じて親交があっただけに「非常に残念。本当にショックです」と声を落とした。

 関係者から古賀氏が闘病中だと聞いた小川氏は、2月にLINEで連絡を取ったという。「病気の状況とか自分から言ってくれた。都内の病院を3つほど回ったって…。病気が再発して『腹水がたまっちゃって…』と言ってたけれど、その時点ではまさか亡くなるなんて…」と明かした。

 3月に入ってからも電話で話したと言い、古賀さんから「心配してくれてありがとう。感謝、感謝」と伝えられたという。小川氏が「治ったら、快気祝いに行こうよ」と誘ったところ、古賀さんが「今は現役時代と同じ(体重)68キロしかないから」と返してきたので「ウソつけ。お前、現役のころは78キロあったろ。オレは知ってるんだよ~」と冗談を飛ばして、笑い合ったという。もちろん、その後の再会を約束したばかりだった。

「高校時代からの付き合いだからね。この前話したばかりなのに…心の整理がつかない。約束を果たせなかったのは残念。心からご冥福をお祈りします」と静かに追悼した。