柔道の東京五輪女子52キロ級代表・阿部詩(20=日体大)が、悔しさをにじませた。

 5日のグランドスラム(GS)タシケント大会では、初戦の2回戦から3試合をすべて一本勝ち。決勝はモンゴル選手が棄権したため、昨年2月以来の実戦で優勝を果たした。

 しかし、6日のオンライン取材で詩は「自分が思っていた以上に緊張はなかったが、自分の求めているレベルまで行っていなかった」と不満をのぞかせた。今大会は昨年2月以来の実戦ということもあり「思い切って柔道ができないというか、自分の気持ちが相手にビビってしまった」と、受け手に回ることもあったという。

 とはいえ、残り5か月を切った東京五輪を前に、国際大会を経験できたのは大きなプラス。「練習だけじゃ感じられない相手からの圧だったり、試合の中でのやられるんじゃないかという恐怖は、試合でしか感じられないと思った。恐怖を感じたときに自分の動きが止まったり、思い切って技に入れないことが多かったので、それをどう練習の中でつくっていくかが大切」と前を向く。

 世界選手権2連覇中の“絶対女王”を、ライバルたちは徹底的に研究してくる。だからこそ、新型コロナウイルス禍の中で足技を磨いてきた。兄・一二三(23)も足技の強化に取り組んでいることから「一緒の道を進んでいると思うので、自分自身もその壁を乗り越えたい」と気合は十分だ。

 東京五輪“きょうだいV”へ、ここで立ち止まるつもりはない。