名伯楽が指摘する絶対女王・上野順恵の決定的な弱点

2011年08月28日 14時00分

【フランス・パリ25日(日本時間26日)発】柔道の世界選手権3日目(ベルシー体育館)、女子63キロ級の上野順恵(28=三井住友海上)は決勝でジブリズ・エマヌ(29=フランス)に敗れ、世界選手権3連覇を逃した。世界ランク1位で金メダルが確実視された“絶対女王”が、まさかの敗戦。一方その裏では決定的な“弱点”も指摘されており、来年のロンドン五輪に向けて女王に暗雲が漂い始めた。

 大会前には国際柔道連盟(IJF)から「現役最高柔道家」に選ばれた“絶対女王”の快進撃がついにストップした。準々決勝を除き、すべて一本勝ちして迎えた決勝。地元の声援を受けるエマヌに組み手を徹底的に封じられ、得意の大外刈りに入れない。延長を含む8分間で決着はつかず、旗判定は0―3。大歓声に沸く会場とは対照的に、上野はうつむくしかなかった。

 園田隆二・女子監督(37)は「大差ではない。でも、アウェーでは投げないと勝てない。来年のロンドン五輪で金メダルを目指せる位置にはいる」と一定の評価を下したものの、実は来年のロンドン五輪はとても安泰とは言えない状況にある。そこには決定的な欠点が指摘されているからだ。

 それはずばり、メンタルの弱さ。全日本柔道連盟の“名伯楽”吉村和郎強化委員長(60)は、かねてこう不満を漏らしている。

「順恵は首が痛いといって練習を休むんだよ。そんなの寝違えと一緒だろ? 寝違えで休むなよと言いたい。そういう部分で気持ちが守りに入っている。1日休めば取り戻すのに3日かかるんだから」

 大舞台でのメンタル面はどの選手にも課題だが、上野は目に余ったという。今大会直前にも吉村委員長は、本調子ではない選手として上野の名前をあげていた。

 とはいえ一昨年、昨年と圧倒的な強さで2連覇を達成。昨年11月のアジア大会では相手選手のグーパンチで顔を殴られ、左目を腫らすアクシンデントに遭いながら優勝を果たしている。それだけに今回も底力で優勝をもぎとると見られたが、“名伯楽”の目に誤りはなかった。最近はケガが多く、精神面でスランプに陥ったことが最後に響いた格好だ。

 女王のメンタル面が安定しない理由として、五輪2連覇の姉・雅恵さん(32)の存在を指摘する声もある。いくら世界選手権を連覇しようが、アテネ、北京五輪を2連覇した実績にはかなわない。それでもメディアからの質問は姉と絡ませるものが多く、ある時は「姉とはタイプが違うから」とイラついた様子で答えたこともあった。偉大な姉に対する“コンプレックス”が、女王にさらなる重圧を与えていることは間違いない。

 だが、それすらも乗り越える強さを身につけなければ五輪の金メダルはおぼつかない。ロンドン五輪まであと1年。絶対女王はまさかの正念場に立たされている。