疑惑判定の元凶は審判委員ジュリー

2012年07月31日 18時00分

【英国・ロンドン発】柔道2日目(29日=日本時間30日)、男子66キロ級で海老沼匡(22=パーク24)が銅メダルを獲得したが、準々決勝で旗判定が覆る異常事態が起こった。疑惑の判定騒動の裏にある“元凶”の存在を追った――。

 海老沼は準々決勝でソウ準好(チョ・ジュンホ=韓国)と対戦。延長を含めた8分間はともにポイントがなく、結果は旗判定へ。主審と副審2人はソウの勝ちを示す青旗を上げた。ところが、ここでVTRチェックをするジュリー(審判委員)から“物言い”がつく。なんと判定がやり直しとなり、その結果審判3人が海老沼に上げたのだ。“外部”の介入による“行司差し違え”に、会場は異様な雰囲気に包まれた。
 海老沼の勝利とは別に柔道関係者は一斉に声を荒らげた。「絶対あってはいけないことが起こった。審判委員はあくまで補助的な立場。判定を否定するべきではない」とは国際柔道連盟(IJF)アスリート委員を務める岡田弘隆・筑波大柔道部総監督(45)だ。

 今回の五輪では審判委員によるビデオを使った判定取り消しが非常に目立つ。事あるごとに試合を中断し、主審・副審の判定を覆している。問題の準々決勝でもゴールデンスコア方式の延長で海老沼の小内刈りが決まり「有効」。ところがジュリーが映像を見て「有効のレベルにはない」と取り消した。ここで「有効」なら海老沼の勝ちだっただけに、最終的な“行司差し違え”もジュリーによる「帳尻合わせ」と見られてもおかしくない。

 関係者の話を総合すると、審判委員を務めるホアン・カルロス・バルコス氏(スペイン)に“問題”があるという。
「バルコス氏は審判委員であると同時に、五輪で主審、副審の人選をするIJF審判理事です。いわば審判の絶対権力者。そのバルコス氏がNOと言えば従わざるを得ないんです」(柔道関係者)

 バルコス氏はゴールデンスコア方式の発案者として知られるが、昨今の国際大会では越権行為がエスカレートの一途。試合が終わると審判を集め、叱りつけることすらある。「それが目に余ったため、最近は主審にイヤホンで指示している」(同関係者)ほどで、審判問題の“元凶”になっている。

“女三四郎”こと山口香JOC理事(47)も「判定を覆すなら場内アナウンスするなど矢面に立ってほしい。責任の所在をはっきりさせるべきです」と怒り心頭だった。

 IJFは「最終的に正しい判定だった。審判は大変な重圧を受けている。ビデオ判定システムはその大きな助けだ」との声明を発表。柔道の歴史に泥を塗るような“世紀の行司差し違え”に問題なしを強調したが、まだまだ波紋は続きそうだ。