柔道界が不安な新型コロナウイルス対応を露呈させている。緊急事態宣言下で男女合わせて9人が出場した柔道の国際大会「ワールドマスターズ」(カタール・ドーハ)を終え、日本男子代表の井上康生監督(42)は「厳戒態勢で安全を確保していただき試合に臨めた」と総括。幸い計6回のPCR検査が義務付けられていた参加選手からの陽性者はゼロだった。

 しかし今後は出発時の空港などで陽性者が出るケースも想定される。バドミントン界ではタイ遠征前の桃田賢斗(26=NTT東日本)が出国時に陽性となり、日本代表チーム全員の派遣中止を迅速に決定したが、そんな場合にどう判断するかについて井上監督は「全員が濃厚接触者にあたるかというのは、状況を把握した上で進めないといけない。そこを見極めた上で対応するという話で詰めていた」と現場判断の方針だったことを明かした。

 昨年12月の全日本選手権では大会直前のPCR検査でパーク24の選手から陽性者が出たとして、所属3選手全員が欠場することになり、混乱が生じた。当時、全日本柔道連盟は全員欠場の判断について「濃厚接触者に該当するかは保健所が判断するが、その時間がなかった」と説明したが、出国直前の検査で陽性が出た場合も個別の判断は困難に思えるが…。

“場当たり的”な印象が拭い切れない基準では、再び混乱が起きてもおかしくはなさそうだ。