柔道マスターズ大会(カタール・ドーハ)最終日(13日)はまさかの結果に終わった。

 東京五輪男子100キロ超級の原沢久喜(28=百五銀行)が初戦の2回戦で一本負け。同90キロ代表の向翔一郎(24=ALSOK)も2回戦で一本負けを喫した。

 原沢はウクライナ選手の小外掛けを食らって倒され、寝技で押さえ込まれた。その際に右肩を強打したようで、全く動けなくなった。激痛に耐えかねたのか、原沢はなんと「参った」の意思表示。衝撃の〝タップアウト〟で、畳の上でうつ伏せになり、試合後の礼もできないままで立ち上がれなかった。右肩が心配されるところだが、一昨年12月以来の国際大会出場はあまりに代償が大きかった。

 向は強豪ベカ・グニアシビリ(25=ジョージア)を相手に攻め手を見いだせず、苦し紛れに捨て身技の隅返しを仕掛けたところ、上からあっさり潰されて押さえ込まれた。昨年末には体重無差別の全日本選手権に出場し〝ぶっつけ本番〟ではなかっただけに「準備不足」と言われてもおかしくない内容だった。

 同大会出場を巡っては新型コロナウイルス第3波の感染拡大により緊急事態宣言再発令が近づく中で派遣を決定。ネット上では批判の声が多かったが、全日本柔道連盟は万全の感染予防対策を取るとした上で「今大会は東京五輪に向けた重要な大会」と派遣を〝強行〟した。

 そうした中で、日本重量級のエースは右肩を負傷し、五輪代表もいいところなく敗退。結果論になるとはいえ、派遣の是非について再び議論を呼びそうだ。