柔道の世界選手権(8月、ロシア・チェリャビンスク)代表選考を兼ねた全日本選抜体重別選手権初日(5日、福岡国際センター)、注目の100キロ超級は上川大樹(24=京葉ガス)が七戸龍(25=九州電力)の3連覇を阻止し、3年ぶり2度目の優勝を飾った。


 3年連続同一カードとなった七戸との決勝で、上川は残り2秒、大外返しで逆転の技ありを奪取して優勢勝ち。重量級の頂点に返り咲いた。


 一時期の不振がウソのような快進撃だ。昨年は世界選手権代表を逃すなど夏場までもたついた。しかし、その後、ウエートトレーニングを開始。体重は1年前の142~143キロから156キロまで急増し、上川の体は筋肉のよろいと化した。ロンドン五輪前から痛めていた右肩も完治。「棘上筋を部分断裂していた。筋トレやって治療やって、ケガに対しての不安がなくなったのが一番」(松本宗三トレーナー)。圧倒的なパワーを手にした上川は、今年に入って無敗。「去年は下がらない。今年は前に出る」。その言葉通り、攻撃的な柔道で復活を印象づけた。


 井上康生監督(35)は「意識が変わってきている」と評価。世界選手権代表はこれで当確したが、上川は「全日本しか考えない。優勝するしかない」と29日の全日本選手権(日本武道館)制覇に目を向ける。まずは低迷するニッポン柔道重量級のエースの座を不動のものとする考えだ。