柔道新星にヒョードルの最強極意

2013年12月02日 16時00分

内股で攻めるベーカー(左)

 目指すは“60億分の1の男”だ。柔道の「グランドスラム東京2013」最終日(1日、東京体育館)男子90キロ級でベイカー茉秋(ましゅう=19、東海大)が初優勝を果たした。

 

 100キロ級はメダルゼロ、100キロ超級も決勝に日本人の姿はなかった。そんななか、課題の重量級で一人、ベイカーが気を吐いた。決勝では李奎遠(韓国)から有効を奪って金メダル。初のシニアの国際大会で怖いもの知らずの若武者が勢いそのままに頂点に駆け上がった。

 

 井上康生監督(35)は海外勢が「50%の出来もつくってない状態」と万全ではなかったことを強調しつつも、新鋭の台頭を評価。「想定外」と声を上ずらせた。ベイカーも「重量級再建っていう言葉に興味がある」と泣かせるセリフで、井上監督を喜ばせた。

 

 ベイカーは好きなスポーツ選手に「ヒョードル、マニー・パッキャオ」と答えるほどの格闘技好き。特にPRIDE時代に無敵の強さを誇った“氷の皇帝”エメリヤーエンコ・ヒョードル(37)は憧れの存在だ。

 

 日本での試合はテレビでチェック。その極意を「どんな時でも冷静なところ」と分析し、柔道の試合にも生かしているという。だが「意識しているんですけど、熱くなってしまう」と道のりは遠い。さらにこの日、ベイカーの顔は赤く腫れ、口や鼻から出血。ヒョードルのように傷一つない顔とはいかなかったが「柔道最強? そうなってみたいですね」と大野望を掲げた。

 

 父は米国人のハーフで、母子家庭で育てられた。井上監督は「体力負けしない」と恵まれたパワーに期待を込める。2016年リオ五輪に向け頼もしい新星が誕生だ。