全柔連が次代のエース候補・大野を“無罪放免”にできない「ある事情」

2013年09月06日 14時00分


 ある関係者は「この文章作成の過程で、『当事者』の範囲をどうするかという議論があった。暴力を振るった人間、指示した人間は当然ながら当事者ですが、『居合わせた人間をどうするか』という話にもなった。(行為に加わらなくても、止められなかったとしたら処分することに)賛成という声が大半だった。手を出さなかったからいいっていう問題じゃない」。全柔連の解釈では大野も加害者と同罪、つまり“有罪”になるというのだ。

 これまでの全柔連なら次代のエース候補をかばっていたかもしれない。だが「金メダル至上主義」が隠ぺい体質を生み出し、全柔連の組織そのものを硬直化させた…と批判されている。こうした状況から、柔道界の未来を担うホープであっても厳正に対処せざるを得ないだろう。

「ここを曲げるようになってはマズいと思う。やっぱり『金メダルを取ればいい』ってなる。しかも大野は(天理大柔道部)主将としての立場がある。暴行を指示したっていうふうにも見られるし、大野だったら止める義務もある」と前出の関係者は顔をしかめた。

 この文書は8月いっぱいまでは「お願い」の形で、9月1日以降に発生した暴力行為に関しては「適用」される。その部分では大野は「シロ」だが、新体制の船出にケチをつけられたくない全柔連も引くに引けない状態だ。

 近石専務理事は「起こった背景を調べたい。偶発的に3回起こったとは考えられない」と暴力行為が常習化していた可能性に言及し、大野を取り巻く環境にメスを入れることを予告した。また全柔連のある理事は「天理大は大野を会見に同席させるべきだった。逃げている印象を与える」とも指摘した。

 大野はリオから帰国した4日、暴行の事実について「合宿でいないんで詳しくは聞いてないです」と話しており、天理大の説明とは食い違っている。

 不祥事の連鎖はどこまで続くのか。