リオ王者の視線の先にあるものは…。東京五輪で2連覇を目指す柔道男子73キロ級の大野将平(28=旭化成)が目指す境地は、常人が考えるはるか先にあるようだ。

 23日に終了したグランドスラム(GS)デュッセルドルフ大会で優勝。これで昨年の世界選手権を含め、国際大会で2年間無敗となり、27日に行われる全日本柔道連盟の強化委員会で五輪代表に選出されることが決定的となっている。

 だが、25日に帰国した際には「そもそも内定うんぬん、代表うんぬんと考えてやっていない。そのことしか考えられていない選手にまずメダルはないと思っている」ときっぱり。続けて「自分に対する期待値は高い。その期待を超えようと日々努力している」とも加えた。

 狙うのはぐうの音も出ないほどの圧倒的な強さでの勝利だ。ドイツの地でも大歓声を浴びるなど“絶対王者”の風格を漂わせ、準決勝までの5試合は一本勝ち。だが決勝の最強ライバルと目される安昌林(25=韓国)戦は優勢勝ちだったことで「ろくでもない試合だった」と振り返っていた。

 それでも全日本や所属の各監督、コーチから「自分が思っているほど悪くない」と言われ、安心した。「自分に課しているものが大きい証拠。このハードルを下げずにやりたい」と気持ちを新たに、先を見据えた。

 金メダルを取ったリオの時より長い準備期間が取れることで、一部の隙も作るつもりはない。想像を絶する強さでの五輪連覇を目指す。