【柔道】リネール 連勝ストップも五輪では“完全体”に

2020年02月12日 16時40分

 柔道界で“リネールショック”が収まらない。男子100キロ超級で五輪2連覇中の“絶対王者”テディ・リネール(30=フランス)はグランドスラム(GS)パリ大会(9日)の3回戦で影浦心(24=日本中央競馬会)に敗れ、連勝が154でストップしたが、周囲は「変わり果てた姿」に驚いたという。その一方、東京五輪での逆襲に警戒を強める声も続出している。どういうことか?

 リネールの国際大会での敗戦は、2010年9月の世界選手権無差別級決勝で日本の上川大樹に敗れて以来。連勝記録は154で止まり、重量級で止まっていた針が再び動きだしたことに間違いはないが、周囲は手放しで喜んではいなかった。

 男子代表の井上康生監督(41)は「何を意図していたかはまだ分からないが、いつもの絞り切った体ではなかった」と万全のコンディションではなかったと指摘。全日本柔道連盟の金野潤強化委員長(52)も「1、2回戦を見て、影浦が勝つというのは我々の中である程度予想していたこと」と話した上で「あの完璧主義者のリネールが1回戦で負けても仕方ないような試合だったのがビックリ。彼がどういう計算で(今大会に)来ているのかちょっと測りかねているところ」と、もはや“別人”と化した姿に困惑を隠せなかった。

 リネールは東京五輪を照準に18、19年の世界選手権を回避するなど独自に調整してきたが、なぜ“太め残り”のままで出場してきたのか。バルセロナ五輪95キロ超級銀メダルの“元暴走王”小川直也氏(51)は「地元だけどこの大会にはここ何年も出ていないし、今回はスポンサーの絡みとか事情があって出てきたのでは」と推察する。実際、GSパリ大会出場は7年ぶり。“大人の事情”も否めない中での3回戦敗退には「本人も納得していると思う。リネールだけはこの大会に『参加することに意義』があったんだろうね」。

 ただ、リネールにとってのターゲットはあくまでも3連覇のかかる東京五輪だ。本紙が既報したように地元フランスでも、全盛期に比べればリネールの力が落ちているとの見方がある中で“元暴走王”は「今回の結果をそのままそっくり本番も…というわけにはいかないだろう」ときっぱり。

 北京五輪100キロ超級金メダルでMMAファイターの石井慧(33)も「影浦君はリネールの苦手なタイプだし、勝てるのは彼しかいない。しかし、これでリネールも研究してくるから、さらに研究が必要になる」と、絶対王者のさらなる“進化”を予測した。

 リネール自身も「(五輪に向けて)これを教訓に準備できる」と話しており、不気味この上ない。調整段階での試走を終えたと言えるだけに、本番では“完全体”となって戻ってきそうだ。