グランドスラム・パリ大会(9日)の男子100キロ超級3回戦で影浦心(24=日本中央競馬会)が五輪2連覇中の“絶対王者”テディ・リネール(30=フランス)を破った。

 殊勲の影浦は研究と戦略で難敵を攻略した。ブラジリア大会でも敗れながら延長戦まで粘って善戦。再戦に向けて、過去の対戦映像を「1日1回は絶対に見た」と明かす。179センチ、120キロと最重量級では小柄。20センチ以上も上背のある相手に、練習で試行錯誤した秘策の返し技を温めていた。「リネール選手に勝てたのは本当に大きい。倒せるのは自分だけ。勝つ自信はありました」と胸を張った。

 決勝ではヘンク・フロル(34=オランダ)に小内刈りでまさかの一本負け。クルパレク同様、リオ五輪後に100キロ級から階級を上げた選手の後塵を拝する形となったが、大金星を挙げた試合内容への評価は高い。全日本柔道連盟(全柔連)の山下泰裕会長(62)は「影浦はしぶとい選手。真っ向から勝負して、いい試合だった。(10年間)無敗の選手を投げて破ったのは大きい」と喜んだ。

 一方、全柔連の金野潤強化委員長(52)は「リネールの1強時代は終わった」と言いながらも「試合内容や体つきが予想外。この状態のまま東京五輪に来るとは思っていない」と警戒感を緩めなかった。