伸びしろの塊は五輪も制す? 柔道女子78キロ超級世界女王の素根輝(19=環太平洋大)が、24日のグランドスラム(GS)大阪大会(丸善インテックアリーナ)でも優勝。これにより試合後に行われた強化委員会では、満場一致で五輪代表内定第1号となった。

 今大会では素根の他に、女子52キロ級の阿部詩(19=日体大)と、男子66キロ級の丸山城志郎(26=ミキハウス)の3人に内定が出る可能性があったが、阿部と丸山は決勝で敗退。そんな状況でも見事に結果を出した。

 決勝で破ったのは、ロンドン五輪金メダルのイダリス・オルティス(30=キューバ)。世界選手権決勝と同じ顔合わせとなり、五輪がかかる重圧の中、続けて勝つのは難しいかと思われた。

 だが素根を指導する“平成の三四郎”ことバルセロナ五輪男子71キロ級金メダルの古賀稔彦監督(52)は「指導を先に取って、組まなきゃいけない状況にすれば大内刈りとか、後ろの技で行ける可能性が出てくる」とオルティス対策を本紙に明かしていた。

 実際、試合は先にオルティスが2つ目の指導を受け、優位に立った素根が大内刈りを決めて勝利している。作戦がばっちりハマり「先に攻めて投げたいという気持ちがあったので良かった」と笑顔を見せた。

 ただ百戦錬磨のオルティスがこのまま黙っているわけはない。当然本番に合わせてくるはずだが、古賀監督は「大きな大会で勝つ手段を知っている選手に、しっかり対応して勝てた。この経験は五輪には大きなプラスになる」と自信を隠さない。

 早期内定によって五輪までの準備期間も十分あり、まだまだ成長の余地がある素根。リベンジを狙うオルティスを返り討ちにして、夢の五輪女王になれるか。