来年に向けて捲土重来だ。柔道でリオ五輪男子81キロ級銅メダルの永瀬貴規(25=旭化成)が2日、グランドスラム(GS)・ブラジリア(ブラジル)大会に向けて羽田空港を出発した。7月のグランプリ(GP)・モントリオールとGP・ザグレブで国際大会2連勝と波に乗っており「自信がつき、その後も順調に稽古が積めたので、しっかり優勝したい」と語った。
かねて東京五輪の金メダル候補と期待されてきたが、2017年に右ヒザの靱帯を損傷。復活に手間取り、昨年、今年と世界選手権代表の座を藤原崇太郎(21=日体大)に譲った。しかし藤原は今夏の世界選手権で初戦敗退。永瀬は「この階級は強豪が多く、勝ち切るのが難しい」と改めて感じ、気が引き締まったという。五輪の代表争いも混沌としてきたが「自分のやることは変わらない」と平常心を貫く。
この落ち着きと最近の安定感はどこから来るのか。永瀬は「右ヒザ負傷の経験が大きい」と語る。「手術をするような大ケガは初めてだったので不安や焦りがあったが、乗り越えることができた。リオ前に比べて精神的にも成長できていると思う」ときっぱり。世界王者のサギ・ムキ(27=イスラエル)についても「決して倒せない相手ではない」と強気だ。
大ケガによる挫折と、15年に優勝した世界選手権に出られない悔しさを味わったニッポン柔道の“切り札”が、リオの借りを返せるか。