【格闘家・青木真也の多事柔論】オレたちはファミリーだ! どうも、青木真也です。いやー、俺もとうとう世界柔道を語るまでになったか…(笑い)。

 この日は何より、阿部詩(19=日体大)が素晴らしかった。ケルメンディとの組み手合戦も見切って最後は押さえ込み。結果以上の圧勝で、次はあっさり勝つでしょう。東京五輪の主役候補になると思う。

 阿部一二三(22=日体大)と丸山城志郎(26=ミキハウス)の対決は「チャンスは1回」っていう“勝負の鉄則”が分かれ目になった。格闘技ってチャンスは1回しか来ないし、逆に1回は必ず来る。5月の(ONEでの)クリスチャン・リー戦ではその1回のチャンスを逃して負けました…。まあ、オレのことはさておき、試合序盤に丸山が左手と右足を痛めたしぐさを見せて、阿部に大チャンスが到来した。でもまさかの“楽な試合”に驚いたんでしょう。内股を警戒したっていうのもあるけど、戸惑って攻めあぐねるうちに丸山が回復。それからチャンスは来なかった。

 丸山は猫の皮をかぶった虎だったね。最初から、浮き技のチャンスを待ち続けていたはず。ちゃんとした浮き技は、最後の浮き腰だけだったからね。それまで仕掛けるそぶりも見せなかったのは、警戒心を薄れさせるため。そう考えると、痛めた“しぐさ”も、いろいろ考えちゃうよね。

 一二三はこれで東京五輪に出るには次のグランドスラム大阪にすべてをかけるしかなくなった。ここで言いたいのは、だからって必死に練習しすぎないこと。オーバーワークはコンディションが悪くなるだけだから。一方の丸山はもう次で決めちゃいたいだろう。代表争いも佳境だね。(総合格闘家)