柔道・世界選手権2日目(26日、東京・日本武道館)、阿部きょうだいの妹で52キロ級の阿部詩(19)が2連覇を達成。男子66キロ級の兄・阿部一二三(22=日体大)は準決勝で延長の末、丸山城志郎(26=ミキハウス)に敗れて3位に終わった。一二三に勝利した丸山は決勝で韓国人選手に一本勝ちを収め、初優勝を果たした。

 詩は準決勝で2017年大会の覇者、志々目愛(25=了徳寺大職)を下したリオデジャネイロ五輪金メダリストのマイリンダ・ケルメンディ(28=コソボ)と激突。「我慢強くしっかり覚悟を持って、強い気持ちで最後まで絶対に諦めないという気持ちを忘れずに頑張りたい」と激戦を覚悟して臨んだ。

 序盤から一進一退の攻防を繰り広げるも、互いに決定打に欠き、ゴールデンスコアに突入。「途中で気持ちがくじけそうになった」と振り返ったが、宣言通りの粘り強い戦いを披露。相手が疲れを見せたタイミングを見計らい、横四方固めで7分15秒の死闘を制し、2年連続で決勝に進出にした。

 決勝では、ロシア人選手を相手に開始30秒で「なかなか決まらなかったけど、最後にやっと出せた」と得意の袖釣り込み腰を決めて、2連覇をたぐり寄せた。

 一方、一二三は6月の強化合宿で左足首付近の靱帯を負傷。ケガの回復具合が心配されたが「全然大丈夫。違和感なく試合に臨める」との言葉通りの活躍を見せた。初戦、開始34秒で背負い投げ。3回戦もわずか41秒で制するなど、理想とする「圧倒的に勝つ」柔道で準決勝まで勝ち上がった。

 準決勝の相手は、2連敗中の天敵・丸山。「投げて勝つしかない」と力強く宣言していた通り、序盤から果敢に足技を繰り出したが、丸山も粘りを見せ、この試合もゴールデンスコアへ。延長に入ると、徐々に丸山ペースになった。一二三の一瞬の隙を見逃さなかった丸山は、隅返しでライバルを返り討ちにした。

 丸山は決勝でも圧巻の強さを見せつけて、初の世界王者に輝いた。試合後「いろんな思いがあったけど、うれしい気持ちでいっぱいです」と笑みを浮かべると「次の目標はグランドスラム(GS)大阪大会で勝ちたい」と念願の五輪切符へ向けて、気を引き締めた。

 一二三は3位決定戦に勝利して銅メダルを獲得したが、悔し涙を見せ「初めはよかったが、決め切れなかったのは自分の弱さ」と声を詰まらせた。「きょうだいで優勝したい」と意気込んで臨んだ大会だったが、兄と妹で明暗が大きく分かれる形となった。

 3日目は、リオ五輪の金メダリストの男子73キロ級・大野将平(27=旭化成)、2連覇を目指す女子57キロ級・芳田司(23=コマツ)が登場する。