吉田秀彦氏がズバリ指摘 阿部一二三の課題は心

2019年06月12日 16時30分

乱取りで気合の入った表情で積極的な柔道を見せた阿部(右)

“怪物”復活へ猛ゲキだ。柔道の全日本男子が11日、神奈川・横浜市の国学院大での強化合宿を公開。今夏の世界選手権(8月25日開幕、東京・日本武道館)で3連覇を目指す男子66キロ級の阿部一二三(21=日体大)は、宿命のライバル・丸山城志郎(25=ミキハウス)らとともに汗を流した。一方で来春の日体大卒業後には、実業団のパーク24に進むことが内定。阿部はこの日ノーコメントだったが、パーク24総監督を務める“柔道王”を直撃すると――。

 4月の全日本選抜体重別では初戦で左脇腹を痛めたが「様子を見ながらできることをやってきた。もう普段通り稽古はできているので心配ない」と問題がないことを強調。その言葉通り、この日は乱取りでも積極的に投げ技にいく姿勢を見せた。逆にキレが良すぎたのか、左足首を痛めるアクシデントも発生。途中で練習を切り上げたが、アイシングの最中に時折笑顔を見せ、トレーナーの肩を借りて引き揚げる際にも「大丈夫です」と笑みを浮かべた。

 選抜決勝では丸山と13分を超える死闘の末、惜敗して準優勝。昨年11月のグランドスラム(GS)大阪大会決勝でも同じ奇襲技の巴投げで敗れて連敗中だが「相手は丸山選手だけじゃない。誰が来ても勝てるようやっていく」と力を込めた。来春から所属することになったパーク24については「それに関しては、すでに(SNSで)出したコメント通り」とこの日は話すことはなかった。

 しかし、押しも押されもせぬ柔道界のスター選手だ。獲得にはかなりの争奪戦が繰り広げられたのでは? バルセロナ五輪78キロ級金メダリストで、パーク24の吉田秀彦総監督(49)は本紙の直撃に「全然ないよ。みんな獲れないと思ってあいつのところに来ない(笑い)」。五輪イヤーからは柔道王が怪物を指導することになるが、育成方針については「(阿部に)教えることなんてないでしょ。僕らは環境を整えてあげるだけ。会社から環境とお金をもらって仕事の代わりに柔道やるんだから、結果がすべてになってくる。いかにして自分で結果を出していくかってこと」と持論を展開した。

 ただ、阿部は2月のGSパリ大会でも初戦敗退の不覚を取っており、大会3連敗中と勝ち切れていない。何が原因なのか。吉田総監督は「追っている時は強い。それが追われる立場になっているわけだから、精神的な部分。柔道にもつながるところがあるから、鍛えなきゃいけないのはそこ」とズバリ課題を指摘。「向かうところ敵なしだったころのビデオを見る」と、すぐに取り組むべきことも提示した。

 全日本柔道連盟は東京五輪の代表選考で本番に向けての準備期間を重視しており、早ければ11月のGS大阪大会後にも最初の代表が決まる。柔道王は「うちに来るのは決まってるころ。世界選手権取って、GS取って…、そううまくいくかだけど。一つも落とせる試合はない」と怪物復活にハッパをかける。まずは世界選手権3連覇が阿部への至上命令だ