やはり退任は不可避か。2020年東京五輪招致を巡る贈収賄疑惑で、フランス当局の捜査対象となった日本オリンピック委員会(JOC)の竹田恒和会長(71)が土俵際に追い込まれている。

 複数の関係者によると、竹田会長の続投によって大会イメージの悪化を懸念する声が15日までに噴出。JOC内部だけでなく、国際オリンピック委員会(IOC)からも早期退任を促す動きがあり、JOC会長と併せてIOC委員も退くべきとの意見も出ている。

 12日のJOC常務理事会後にこんなシーンがあった。竹田会長の続投を念頭に置いたとされる「選任時70歳未満」の役員定年規定の改定論について、平岡英介専務理事(71)は「あたかもJOCが定年を撤廃するというニュアンスで受け止められたのは非常に心外」と語気を強めて反論した。そんな物々しい雰囲気の中、事務局からひょうひょうと姿を現したのは後任候補の本命とされるJOC選手強化本部長で全日本柔道連盟会長の山下泰裕氏(61)だ。

 15日の全柔連理事会後には取材に応じ、竹田会長の退任論について「やめるかどうかは会長が判断されること」と話した。その上で「仮定の話には一切コメントできない。何も決まってないんだから。発言すると独り歩きしちゃう」。徐々にトーンが柔らかくなっても「希望的観測とか、仮定の話はやっぱり慎まなければいけない。絶対に軽はずみの発言しちゃいかんよって(周りから)言われているので」と慎重な姿勢を崩さなかった。

 山下氏は全柔連の強化ヘッドコーチ時代からメディアには協力的だった。時にはリップサービスをすることもあっただけに、今回の慎重姿勢はそれだけ竹田会長を巡る事態が緊迫化している証しだろう。19日のJOC理事会では、何らかの方向性が示されそうだ。