【柔道世界選手権】阿部一二三を引き締めた野村氏のイジリ あこがれの人と合体で磐石2連覇

2018年09月22日 16時30分

【アゼルバイジャン・バクー21日発】柔道の世界選手権第2日、妹・阿部詩(兵庫・夙川学院高)との同時優勝に兄の阿部一二三(21=日体大)は「2連覇をすること以上に兄妹での優勝が目標だった。記録をつくれて良かった。妹が先に優勝し、より覚悟を持って決勝に臨めた」。自身は日本の絶対エースとして“勝って当たり前”の立場だっただけに、安堵の表情だった。

 ただ、世界から研究され尽くした中での2連覇は、東京五輪へ向けても大きな価値がある。この裏には“野村効果”があった。今春、五輪3連覇の野村忠宏氏(43)が立ち上げた事務所に入り、マネジメントを一任した。野村氏は子供のころからのあこがれの人。これまでプライベートなつながりだったのが、仕事においてもパートナーシップを結んだことで、互いの距離は縮まり関係は強化された。

 これが追い風になった。技術の習得や勝負の駆け引きを学ぶだけではない。特に野村氏の辛口な“イジリ”は引き締めの効果も発揮した。「オマエ、五輪出たこともないの?」「世界王者って1回だろ。1回だけじゃまぐれって言われるよ」。昨年世界選手権を初制覇し、東京五輪の金メダル候補としてもてはやされたが、野村氏が説いたのはひたむきに努力することの大切さだった。

 決して頭ごなしではなく、時には冗談を交えて関西人らしい陽気な語り口で言葉をかけられた。その効果はてきめんで、7月に国際大会で3年ぶりの黒星を喫しても謙虚に受け止め、課題に向き合った。

 全日本柔道連盟の金野潤強化委員長(51)も「阿部選手も若いですしみんなが注目して、少しずつ知らずのうちにテングになるところもあるでしょうし、そういうところも(野村氏に)言ってもらえる。非常に尊敬する先輩から言ってもらうことは変な意味で増長したりもしないでしょうし、プラスの面は大きい」。

 兄には東京だけではなく、野村氏の五輪3連覇超えの期待まで高まる。