【柔道】石井慧が「世界選手権」注目選手を徹底分析

2018年09月19日 16時30分

注目の阿部兄妹・一二三(左)と詩

【石井慧の眼】柔道の世界選手権が20日にアゼルバイジャン・バクーで開幕する。2020年東京五輪まで残り2年を切り、大舞台への試金石となる重要な大会だ。果たしてニッポン柔道は躍進を遂げることができるのか。北京五輪男子100キロ超級金メダリストで、現在は格闘家として活躍する石井慧(31)が本紙の柔道解説に初登場。注目選手を徹底分析した。

 ――2連覇の期待がかかる66キロ級の阿部一二三(21=日体大)について

 石井 阿部選手は寝技がいらないというくらい技がキレますね。僕の考えでは、そつのない柔道をするためには相手が潰れたら確実に押さえ込むとか、そういうのが大切。ですが、彼に関しては寝技が必要ないなと思うくらいなんで、すごいですね。

 ――7月の国際大会でモンゴル選手の捨て身技で投げられ、約3年ぶりに敗戦を喫した

 石井 今のルールでは足を持てなかったりとか、組み手の制限が増えている。組み勝つということが必要で、組み勝てば変則型の技を食らうことはない。僕の持論では組み手が一番柔道で大切。7割、8割は組み手で決まる。組み手をしっかりすれば、間違いなく阿部選手は金メダルを取ると思いますよ。

 ――課題は
 石井 逆に相手が阿部選手に勝つことを考えた時、相手目線に立つと、やっぱり寝技じゃないかと思う。阿部選手がどこまで寝技ができるかわからないし、他の66キロ級の選手がどこまでやれるかわからないけれど、逆に組んだら相手が(阿部を)潰して寝技ということをされたら、どうなのかなと。しつこい相手にどうなるか。それくらいしかないのかなと。

 ――阿部には2年後の東京五輪で「絶対金メダル」の期待も

 石井 僕の場合は世界選手権に出たことがないんです。パッと(北京)五輪に出て優勝して、という感じで、外国人選手に研究されていなかった。世界選手権といっても今は毎年あるし、2人出られる階級があったりと、価値自体は下がってきている。それだったら阿部選手をあんまりポンポンと世界選手権に出さないほうがいいのでは。2年後の五輪を考えたら(今年は)世界選手権に出さずに、アジア大会に出たほうが良かったんじゃないかと。研究されますからね。

 ――女子52キロ級の妹の阿部詩(18=兵庫・夙川学院高)は初出場

 石井 彼女の場合、あまり見たことがないので技とかわかりませんが、自分の組み手になるまでしつこく妥協しないのが優勝につながるのではないかと思います。
 ――重量級は石井選手が金メダルを取った後、世界の舞台で苦戦が続いている

 石井 試合を見てますと、ルール的に重量級は奥襟をたたき合って技をかけ合うパターンも多いじゃないですか。日本ではそれでいいかもしれないけれど、海外では外国人選手はでかい。奥襟を取ると柔道着も使えないし、間合いを取れなかったりとか、組み手が限られてくる。これからは重量級も前襟でさばく柔道をしないといけないんじゃないかと。

 ――100キロ超級代表の原沢久喜(26)、小川雄勢(22=明大)は2人とも奥襟を持つタイプ

 石井 何とも言えないですね。小川選手は初めて世界選手権に出る。(父親の)小川(直也)先輩にはお世話になったんでぜひ頑張ってほしい。応援しています。原沢選手はオーバートレーニング症候群になるほど稽古に繊細な人みたいなんで、繊細さを試合に出して頑張ってほしいですね。