柔道世界選手権(9月、アゼルバイジャン・バクー)女子52キロ級代表の阿部詩(17=兵庫・夙川学院高)が来春、兄で男子66キロ級代表の一二三(20)と同じ日体大に進学することが分かった。

 2020年東京五輪での“兄妹ダブル金メダル”獲得へ、最高の環境が整った。きっかけは兄の存在だ。3月下旬に約1週間、都内に滞在した詩は日体大や実業団の道場を視察して進路を検討した。

 その時、特に印象的だったのが、実際に日体大で一二三から指導を受けたことだった。日頃から兄の背中を追いかけ「一番、尊敬しているのはお兄ちゃん」と言い切る。その兄が上京後は3年間、兵庫と東京で離れ離れの生活を送っている。大学でのアドバイスは新鮮で、詩は「お兄ちゃんからいろいろ教えてもらった」と感激の様子だった。

 来年、兄は大学4年になるだけに「日体大所属」として共に戦えるのは1年限定だ。しかし、一二三が卒業後も日体大を練習拠点にするなら、身近で心技体の助言を受けることができ、詩にとってのメリットは計り知れない。

 13日、都内で行われた国際合宿に参加し、外国人選手と激しい乱取りを繰り広げた。その合間には、一二三も師事する日体大の山本洋祐部長(57)に組み手の指導を仰ぎ、熱心に聞き入った。「頑張ります!」。進化がますます加速しそうだ。