「異次元」の強さ見せた超人・内村

2012年05月08日 12時00分

 ロンドン五輪・体操男子日本代表の内村航平(23=コナミ)はやはり〝超人〟だった。世界選手権3連覇を果たし、すでに五輪代表に内定した内村は4日「NHK杯」(東京・代々木第一体育館)で3種目限定の演技を見せた。そんな日本のエースは国際体操連盟(FIG)が認定する6種目の技799個すべてをこなせることが判明。世界でただ一人というマルチな能力を駆使し、ロンドン五輪では個人総合だけでなく、種目別も含めた〝完全制覇〟への期待が高まる。

 まさに異次元だ。他選手がロンドン五輪代表の最終選考会(6種目)に臨む中、すでに代表に内定している内村だけが五輪本番の種目別を見据えた〝デモンストレーション〟を披露した。

 すると、高難度を連発した演技では床で15・850点、つり輪で15・450点、鉄棒で16・750点と高得点をマーク。個人総合だけではなく、種目別でも金メダル獲得への期待は高まるばかりだ。内村も「ロンドンでは今日と同じいい演技をしたい」と珍しく自分に合格点を与えた。

 こんな内村の〝すごさ〟は想像を絶する世界に突入していた。FIGが定め、日本体操協会が翻訳、発行する「採点規則・男子」(2009年度版)にはすべての技と採点法が記してある。内村は本に記載されるFIG認定の技を全部こなせるという。日体大関係者が証言する。

「体操選手は普通、苦手種目が必ずある。そのため、個人総合の優勝者というのは、いかに得意種目が多いかで決まるんです。ところが、内村選手のすごいところは、6種目すべて得意なんですね。しかもFIGが認定するすべての技ができるんですよ。そんな選手は見たことがありません」

 そこで本紙は4年に1度、五輪後に改定されるという「採点規則」の最新版を入手し、技をカウント。6種目の合計は799個にも達した。試合ですべて実践するわけではないが、内村は難度の低い技から高いものまで現在、世界で認定されているすべてをこなせるのだ。まさに超人というしかない。

 この日、圧巻の演技を披露した内村をチェックした体操大国の中国メディアは「(中国選手は)個人総合では内村に勝てないと諦めている。種目別で勝負するつもりです」。最大のライバル国ですら「打倒・内村」を諦めているほどだ。

 どこまで強くなるのか分からない日本のエース。もはや焦点は金メダルを取ることではなく「いくつの金メダルを取るのか」ということ。NHK杯で五輪本番への準備も整えた内村。あとは自分自身との戦いを制するだけだ。