首位で決勝進出・村上茉愛 世界体操女子個人総合「金」も狙える舞台裏

2017年10月06日 16時30分

村上は出だしの平均台での慎重な演技が好発進につながった(ロイター=USA TODAY Sports)

 カナダ・モントリオールで開催されている体操の世界選手権で新たな歴史が生まれるかもしれない。4日(日本時間5日)に行われた女子個人総合予選で、村上茉愛(21=日体大)が4種目合計55・933点で首位通過。6日(同7日)の決勝で日本女子初の金メダルを射程にとらえた。

 前回6位とはいえ、最もメダルに近いのは個人総合より種目別の床運動。出発前も「一番は種目別で決勝に残りたい」と話した。それがフタを開ければ、個人総合でまさかの首位。村上は「うれしいですね。想像より点数が出て上に来た」と驚いた様子だった。

 ただ、快進撃には複数の要因がある。絶対女王シモーン・バイルス(20=米国)をはじめ、リオ五輪個人総合のメダリストは一人も参加していない。日本体操協会の塚原千恵子女子強化本部長(70)は北京五輪翌年の2009年に個人総合で銅メダルを獲得した鶴見虹子氏(25)を引き合いに「五輪の次の年は鶴見がメダルを取ったように各国選手が交代するし、ベテランが出ない」とチャンスをうかがっていた。

 また、強豪の米国はロシア人コーチを雇い、今大会はパワーではなく芸術性を重視する戦略。演技の完成度がそこまで突出しなかったのも村上への追い風となった。

 もちろん、村上個人のレベルアップも光る。予選で心がけたのは思い切りのよさより慎重さ。平行棒で難度を落としたように、決勝に残るための安全策を取ったことが奏功した。「無理に攻めようとせず、0・1点を大切にして」と狙った通りの展開となった。

 決勝では海外勢もギアを上げるだろうが、強力ライバル不在で金メダルに向けて最大の好機が到来。何より、村上には床運動で誰もできないH難度のシリバス(後方抱え込み2回宙返り2回ひねり)という武器がある。ここで弾みをつければ、3年後への期待が一気に膨らみそうだ。