体操の世界選手権男子予選(カナダ・モントリオール)で左足首を負傷し、個人総合連覇が「6」で止まった内村航平(28=リンガーハット)の今後に世界からも注目が集まっている。2度の五輪を含め8年連続で世界一に輝いた「キング」のアクシデントに、ライバル国も興味津々。海外メディアでは「内村時代の終わり」と断定する論調が多い中、あの“最大ライバル国”からは意外な指摘が…。

 内村は2日(日本時間3日)の男子予選2種目目の跳馬で左足首を痛め、4種目目の鉄棒以降を棄権した。3日にモントリオール市内の病院で検査を受け、左足首前距腓靱帯不全断裂で全治2~3週間と診断された。骨に異常はなく、手術の必要もないという。

 日本体操協会の水鳥寿思男子強化本部長(37)は「体操ができなくなるレベルのケガではない」と安堵の表情。内村も「ほっとした。自分は安静にして治すタイプじゃない。松葉づえを持つのも面倒くさいし、歩いたほうがすぐ治りそう」と笑顔だった。

 衝撃の途中棄権は国内のみならず海外でも続々と報道された。ロイター通信は「内村の個人総合王者としての輝かしい地位は終わりを告げた」と報道。米NBCスポーツ(電子版)も「コウヘイ・ウチムラの世界最強としての8年間が月曜日に終わった」とし、いずれも内村時代の終焉を強調した。

 そうした論調の中、「全能王(個人総合王者)恐怖の40連勝が止まった。内村時代は終わるか?」という検証記事を掲載したのが、体操日本の最大ライバル・中国の「新浪体育」だ。

 まずは来年1月で29歳になる内村の年齢について言及。種目別選手ならば問題はないが、個人総合で戦うとなれば黄金期ではないとしつつも、今大会で負傷後も3種目目の平行棒ができたことから大きなケガではないと予測した。しかも、演技した3種目の得点が決して低くなかった。特に跳馬は国内大会より大きく上がっており、調子が変化する他の選手にはない安定感があると指摘。「内村時代が終わったと言うのにはまだ少し早い」としている。

 中国は長年にわたる日本のライバルで、2008年北京五輪、12年ロンドン五輪では団体で日本を抑え金メダルを獲得した。一方で15年世界選手権、16年リオ五輪では日本が金メダルを獲得。最近は追う立場とあって「内村の負傷に気を抜くな」というゲキの意味も含まれているのだろう。ただ、今回の連勝ストップはあくまでアクシデントによるものととらえており、内村への高い評価はほとんど変わっていないようだ。

 内村は早期帰国をせず、現地に残り会場でにらみをきかせる。世界も注目する復活劇を遂げられるか。