【体操】内村“錦織流”で10連覇!無名コーチを相棒にした理由とは

2017年04月11日 11時00分

女子1位の村上茉愛(右)と笑い合う内村

 体操の全日本個人総合選手権最終日(9日、東京体育館)男子決勝はリオ五輪2冠の内村航平(28=リンガーハット)が合計86・350点で10連覇を飾った。2位とは0・050点差の僅差ながら、貫禄のプロ初勝利を支えたのは、今季からタッグを組む佐藤寛朗コーチ(27)。選手としての実績は皆無に等しいものの、内村が信頼する理由があった。キーワードは「錦織流」だ。

 試合後、内村の口からは反省の言葉が並んだ。「ひと言で言うと、すごくしんどかったです。これは、負けたんじゃないかなと思いました」。確かに2位の田中佑典(27=コナミスポーツ)とは僅差で、最後は運が味方した印象もある。それでも「自分らしさが全然、演技では示せなかった」まま、猛追する若手世代を抑えてのV10は、多くの体操ファンをうならせる歴史的偉業だ。そんな内村が試合後、感謝したのが佐藤コーチだった。予選が4位になった後、葛藤していた内村は「自分に腹立たしいというか、久々というのは言い訳と思っていた。それを(佐藤氏に)『予想していた』と言われたので『まあいいのかな』と開き直れた」と女房役をたたえた。

 前所属のコナミスポーツでは日本代表で実績ある複数のコーチの指導のもとで練習に励んだ。しかし、佐藤氏は体操界では無名の存在。内村とは朝日生命時代の後輩という接点があるだけだ。「コーチというより補助役」と周囲は口を揃える。

 内村ほどの選手なら元金メダリストなど名のあるコーチを選べたはず――。そんな見方があってもおかしくないが、水鳥寿思強化本部長(36)は「航平は周りに気を使ったりする。そういう必要のない人がついているのはすごく支えになる」と話し、佐藤氏が適任であるとした。

 特に水鳥氏が強調するのは相談役としての役割だ。「航平は誰がコーチになっても1~10まで手取り足取り(教えること)は必要ない。それより、これからも(五輪3連覇を)目指さなくちゃいけない大変な時がある。大変ということを含めて打ち明けられて、一緒に考えられるような人が佐藤君だと思う」と技術面より精神面を安定させる効果を期待した。

 また、日本体操協会の田中光氏(44)は「本人の感覚でできるっていうこと。テニスの選手もコーチを自分で雇っている」と話す。もともと内村はプロ選手としての理想像に男子テニスの錦織圭(27=日清食品)を挙げていた。その錦織が長年、指導を受けるのがダンテ・ボティーニ・コーチ(37)。選手としての実績は錦織のほうがはるかに上だが、2人の相性はぴったりで不可欠なパートナーになっている。

 内村にとって、佐藤氏は欠かせない存在。佐藤氏も内村とのコンビについて「みんなが思うほどやりにくくない」と笑顔で話す。次戦はNHK杯(5月20~21日、東京体育館)。内村が“新パートナー”とともに、東京五輪へ上々のスタートを切った。

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