【体操】プロ転向の内村 提示額が最も低かったリンガーハットと“男気契約”のワケ

2017年03月07日 16時30分

ちゃんぽんを味わう内村航平

 日本体操界初のプロ転向を果たしたエース・内村航平(28)が6日、都内で会見し、外食チェーンの「リンガーハット」と所属契約を結んだことを発表した。関係者によれば、内村の契約を巡っては複数の企業が競合。その中でエースが選んだのは、最も低い提示額のリンガーハットだった。いったい、どうしてなのか? 決め手になったのは意外にも…。

 

 昨年11月にプロ転向を宣言した内村のもとには、数社から契約の打診があった。最終的にリンガーハットを選ぶことになったが、同社関係者は「大変でしたよ。弊社が一番安かったと思います。だいたい大台(1億円)にいかないくらい。だいぶ、いかないですよ」と恐縮した表情で、驚きの舞台裏を明かした。

 

 プロ選手にとって、その価値は金額であることは言うまでもない。それが全てではないものの、大事な要素だ。内村は個人総合でロンドン、リオデジャネイロと五輪2大会連続金メダル。リオでは団体と合わせて2冠に輝き、次の国民栄誉賞候補に最も近い男とされている。

 

 実際、1億円を超える超高額オファーも届いたそうだが、内村にとって金銭面は二の次だった。決め手は「お互いやることが合致したということと、長崎だったということですね」(前出関係者)。

 

 リンガーハットは内村の出身地と同じ「長崎」で創業という共通点がある。「長崎から世界へ」は両者が掲げるテーマだ。内村も「同じ長崎なのですごく縁があると思った。そこが決定打になった」。また、リンガーハットは飲食業を展開する一方、食育で子供たちを支援している。体操教室を通じ、未来に競技を普及させていきたい内村と、方向性も一致した。

 

 さらにもう一つ、別の理由もあった。「問い合わせを含めて一番最初に(オファーを)させていただきました。(プロ転向の)ニュース、聞いてすぐですね」(同)

 

 日本オリンピック委員会(JOC)のシンボルアスリートを務める内村はプロ転向を表明しても、JOC協賛社などと競合する企業とは契約できないなど、所属先の決定は難航が予想されていた。そうした不安も抱えながらの状況で、真っ先に名乗りを上げてくれたのが地元企業だったことは、何よりもうれしかったはず。この誠意に、体操界のキングが“男気”で応えたのだ。

 

 契約期間は2021年12月までの約5年だが、展開次第では延長も浮上する。「ようやくプロとして第一歩を踏み出せた」と笑顔の内村は相思相愛のパートナーを確保し、早くも東京五輪での必勝態勢が整った。