エース・内村航平(28)が3大会連続の金メダルを目指す2020年東京五輪での体操競技に、思わぬ難題が浮上した。

 3日、都内の味の素ナショナルトレーニングセンター(NTC)で男子の代表合宿が公開され、内村や白井健三(20=日体大)らが参加。これがプロ転向後、初の代表合宿となった内村は、独自技の開発に意欲を見せたうえに、心機一転、若手に積極的に声がけもした。腰や足首、肩に慢性的な不安を抱えているが「全部完治してない。4年間付き合っていくしかない」と不退転の決意を示した。

 東京ではリオ五輪以上のメダルラッシュが期待される。環境面で母国開催のアドバンテージがあり、使用する器具の決定権も東京五輪組織委員会に委ねられるなど好条件は揃っている。ところが、その器具について、組織委関係者は「打診は海外からもある。そう簡単には決まらない」との見通しだ。

 日本勢にとって有利なのはもちろん、日本のセノー社製。この日もほとんどの選手が同社製の器具で練習した。それが一筋縄ではいかないというのはどういうことか。水鳥寿思強化本部長(36)は「もちろん、セノーが希望です。選手も慣れているし、我々に優位と想像できる。ただ、世界に普及していない。オフィシャルの器具として認められるか心配」。ネックは海外での普及度だという。

 リオ五輪は外国製の器具だった。日本は内村の男子個人総合と男子団体で金メダルを獲得したが、跳馬の歩数を変えた白井が「(4月の)全日本選手権はセノーなので自信を持ってやりたい」と話すように日本製のメリットは大きい。とはいえ、五輪には公平性も求められるだけに、今後の調整が注目される。