体操の東京五輪代表・畠田瞳(21=セントラルスポーツ)が25日、オンラインで引退会見を行った。

 前日に閉幕した全日本選手権の予選(21日)の床が現役ラスト演技。フィニッシュの瞬間に涙があふれたが、この日は晴れやかな表情だった。

「最後の演技を終えた時は長年続けてきた体操競技から離れる悲しさ、寂しさがあって感極まって涙したんですけど、涙が引いてからはやりきったっていう気持ちがすごく強くて、スッキリした気持ちになりました」

 絵に描いたような体操一家。父・好章氏は1992年バルセロナ五輪の男子団体銅メダリスト、母・友紀子さんも元日本代表選手。現役の妹・千愛(17)とは代表入りを目指して切磋琢磨してきた。

 偉大な父を持つ畠田家に生まれた宿命について「2世のアスリートの方が重圧を感じたり、プレッシャーがあると聞いたことがあるんですけど、私は小さいころから全くなかった」と言い切る。その根底にあるのは「親が好成績を残しているからといって、自分も残さないといけないわけではない」という考え方だった。その上で好章氏へ「アドバイスや応援も自分の力になったと思います」と感謝の気持ちを明かした。

 今後は米国への留学、大学院進学、指導者など様々な道を模索する。「英語がしゃべれるようになりたい」「ロシアの体操の指導方法を学びたい」という目標もあるようだ。

 会見の最後には妹の千愛が登場。「第2の人生も頑張ってください」という妙によそよそしい言葉とともに花束を贈呈されると、照れくさそうに笑った。ともに夢を追いかけ、全てを知り尽くす姉妹の距離感を物語るシーンだった。